
20代男性のデート経験なし率4割って、もう結婚は「趣味」になったんだと思う
20代男性で、デートを経験したことのない男性が4割います。
これは、内閣府の男女共同参画局が取りまとめた「男女共同参画白書 令和4年版」で判明した事実です。
20代男性のデート経験なし4割、では30代は?
それだけなら、筆者も驚きません。たとえば、21歳時点で「デートをしたことがない」男性も、調査には含まれるからです。
だが、同調査によれば、30代男性の34.1%もデートをしていない。引き算すると、わずか5.7%しか20代で初デートをこなせていないのです。
6割の男性が10代のうちにデートを済ませるなかで、残された4割にはほとんど「一発逆転」のチャンスがありません。世はまさに、恋愛格差時代です。
20代男性でデート経験なし4割層は何を考えているのか
では、20代男性で、「デート経験なし」と答えた4割の層は、一体どういった状況にあるのでしょうか。
就活生支援を長年続けてきた筆者が、20代へ話を聞いてみました。すると、こんな声が挙がってきました。

モテたいとは思わないんです。ただ、普通に彼女が欲しいとは思います。世の中にある「恋愛マニュアル」って、モテるためのものじゃないですか。そういうのは必要ないと思ってて。ただ、普通に彼女がほしい。そう思ってはいるんですけど、チャンスに恵まれなかったですね。
こういったリアルの声がある反面で、上の年代は壮大な勘違いをしているように思われます。
20代男性でデート経験なし4割層への誤解
これらのリアルな声と裏腹に、年上世代から聞かれる「誤解」は以下の通りです。
- 最近の20代男性は高望みをしているのではないか
- 20代男性が受け身になっているせいではないか
- 20代男性にとって恋愛より楽しいことがあるのではないか
これらの誤解を、一つずつ紐解いていきましょう。
誤解1: 20代男性は高望み
上の世代から「20代は高望み」という誤解は、真っ先になされます。
ですが、20代男性の恋人がいる比率は1980年代から同じまま。荒川和久さんが「恋愛強者3割の法則」と述べているように、昔から20代は恋人がいなかったのです。
したがって、「最近の若者は高望み」という言説は、完全に誤解と言えます。
誤解2: 20代男性が受け身になっている
20代男性は、「受け身」だといえるのでしょうか。
内閣府の平成27年度「少子化社会に関する国際意識調査報告書」では、受け身男女の国際比較がなされています。
調査によると、「相手からアプローチがあれば考える」=受け身の姿勢を取っている男性は、日本と外国でそう差はありません。しかし、日本人女性は諸外国に比べて圧倒的に恋愛において受け身です。
したがって、20代男性が受け身という指摘は、あまり正しくありません。
誤解3: 恋愛より楽しいことがある
最後に、恋愛より楽しいことがある……つまり、恋愛への意欲が失われているのではないか?という仮説へ触れておきましょう。
Z世代、つまり今の20歳前後を対象にした調査によると、18~20歳の「約9割」が「結婚願望あり」と回答しています。しかも、理想の結婚をしたい時期は「25~30歳」が最多。つまり、恋愛・結婚への意欲は十分にあるのです。
「恋愛・結婚はしたい。それなのに20・30代でデート経験を詰むことができない」
というのが、現代の若者像なのです。
20代男性でデート経験なし4割層は問題の主眼ではない
むしろ問題といえるのは、30代のデート経験率が上昇していないことです。これまで、30代を迎えると結婚への圧力が増すこともあり、「なんとかしてデートせねば」という雰囲気が男女ともに生まれました。
2014年に発表された漫画『東京タラレバ娘』では、いかに女性が「結婚せよ」という圧を受けているかが詳らかにされました。
それからの世代は「結婚しないの?」という発言がセクハラ・パワハラとして認知されていく変化に見舞われました。結果として、かつてよりは30代への結婚圧力が減っています。
他方、圧を受けなくなったことで30代でも「なんとかして結婚せねば」という強制力は働きづらくなっており、「20代男性・デート経験なし4割」は、そのまま30代男性として、スライドする形になっています。
「たとえ、コミュニティを破壊するリスクを負ってでも恋愛すべし」
「会社の先輩や友達から紹介された人と、とにかく落ち着くのがよい」
と言える世代は、35歳以上が最後。
これからの世代は、結婚圧力のないなかで自発的に相手探しをせねばなりません。それは、より自由な世代の始まりと言える代わりに、黙っていても希望が叶う時代の終焉をも意味するのです。
コミュニティを壊すのが怖いんです。ゼミとか、サークルとかの。せっかく仲良くなれたのに、その中の一人に告白しちゃって、失敗でもしたら、もうそのコミュニティにいられなくなっちゃいます。目立ちたくないんです。